大阪湾から登場したグレート・ニタは、大仁田厚以上の反則技で〔何が凄いって必殺技は「鎖鎌」〕新日を荒らしまくる。
そこへ本家、グレート・ムタからメッセージが…「…ニタ。ユー・アー・フェイク。ゴー・トゥ・ヘル。」
別人である(^_^;)武藤敬司と違い、ムタは、ボソボソと、しかし、ハッキリしたニューヨーク英語で喋るのだ!
そして、ついに決定した一騎打ちの会場は…神宮球場!!野外だ!これは思いっきり大仁田得意の爆破マッチがやれる!沸き立つ大仁田信者。
そしてニタの友人〔ややこしい(^_^;)〕大仁田厚の提案した試合形式は…
『ノーロープ有刺鉄線バリケードマット地雷電流爆破時限爆弾ダブルヘルデスマッチ』!あー書いてるだけで楽しい(^_^)大仁田が今までやってきた電流爆破マッチの形式が全て入っているのだ。
そして当日。大仁田厚のテーマであるワイルド・シングの和風バージョンで登場したニタは、白装束に胸には「忍邪」の刺繍。ムタへのリスペクトが感じられる。
さあ、ムタの登場!武藤敬司のテーマが津軽三味線で弾き出される「ホールド・アウト、ムタバージョン」!観客の期待を煽るだけ煽ったムタの出立ちは… 顔にはメカゴジラ風のマスク、そして肩には金属の龍!
「メカムタだー!電流爆破へのムタの構えは万全だー!」眞鍋アナの絶叫がこだまする。
だんだん書いてて俺でさえ馬鹿馬鹿しくなってくるこの試合(^_^;)しかし、屈指の名勝負となるのである。
そう、異次元の大勝負、グレート・ムタ対グレート・ニタ!
ニタは棺桶を引きずって登場、これにムタをノックアウトして叩き入れ、自分が忍邪としてホンモノになるという。
かたや入場してきたムタはメカゴジラ風のオーバーマスクを取り〔電流爆破用の筈なんだけど(^◇^;)〕
隈取のペイントを施した顔で有刺鉄線を一瞥する。
このときの武藤…じゃない、ムタの眼が、とにかく眼力、という感じで無茶苦茶カッコいい!いまの羽生くんの眼に匹敵する(^_^;)男は眼力である。
さあゴング、いきなり鎖鎌で襲いかかり、ムタの額から流血させるニタ。額から流れる血を自ら手に取り、確認したムタは…必殺シャイニングウィザード!といっても当時この技には名前がついていなかった。武藤のときはシューティングスタープレス、とか飛び技を多用するけど、この所謂ヒザ蹴りは使ってなかったのだ。これがいま、膝を壊した武藤の必殺技になっているのだから面白い。
シャイニングウィザードで吹っ飛ばされたニタは正面から有刺鉄線へ…轟音とともに爆破!最前列にいた俺に粉塵と爆弾の破片、それに火薬の匂い…う、嬉しい(^_^)
そして起き上がってきたニタは…紅い毒霧!うずくまるムタにまた鎖鎌で襲いかかろうとするが…なんと踵を返したムタは翠の毒霧!!ここでまたシャイニングウィザード!ニタ二度目の爆破!
毒霧の応酬という、この手のプロレスファンにはたまらない攻防を繰り広げた二人にも決着のときが訪れる。
必殺のサンダーファイアーパワーボムも返され、もはや出す技がなくなった〔元々あんまり技がない(^。^)〕ニタはリングの鉄柱に設えられた、起爆スイッチを押してしまう。そう、リング下に設えられた時限爆弾の起爆スイッチなのだ!
必死の形相で、ニタラリアット〔これまたあんまり効かない(^^)〕を叩き込み、下の地雷に落とそうとするニタだが、ムタはそれを正面から受け止め〔偉い!〕時限爆弾サイレンが神宮球場に響き渡るなか、必殺のスターライトシューティングプレスを華麗に決める。そのままハイキック、もんどりうってリング下に落ちるニタ!
…4,3,2,1…新日本の名物リングアナ、ケロちゃん〔繰り返すがカエルさん(弾き語り)ではない(^_^;)〕の場内を震撼させる素晴らしいカウント…
ゼロ!神宮球場の夜空に響き渡る轟音…火花、粉塵…観ている俺の髪の毛が真っ白になったのを覚えている〔とても嬉しい(^_^)〕
ピクリとも動かないニタ。それを見下ろし、勇壮に去るグレート・ムタ…
追いかけるテレ朝の真鍋アナに「ニタ…イズ…ダイ…」と短く答え、「アイム、リアル、チャンピオン!」
大仁田の得意とする戦場で、大仁田ルールで、完勝したのだ。やはり天才・武藤…いや、ムタ!敵ながらカッコいいぞ!
幟を立てて集まった大仁田信者は呆然。しかし、担がれて退場するニタに、泣きながら万雷の拍手を送る。
そのとき、ニタは突如覚醒し、リングサイドに運びこまれていた棺桶に、自分で入る…うーん(^_^;)
棺桶がリングの花道を去るという異様な光景…しかし、大仁田信者は惜しみない拍手を送るのであった。
後日、テレビ中継を見た。このシーンのあと、恒例の大仁田劇場。
棺桶の横でがっくりと肩を落とす大仁田厚。
「真鍋…ニタも死んじまった…もう、俺もここまでかもしれん…」
いや、大仁田さん、あなたここにいるじゃないですか、と誰も突っ込まない(爆)それこそが大仁田劇場の劇場たる所以なのだ(^_^;)
しかし、真鍋アナは「大仁田さん、これみてください!」と一通の書状を手渡す。
…それこそが、長州力の対戦受託!!
書状をみて目を丸くする大仁田…ここからの映像は今もはっきり覚えている。
恒例、真鍋アナを振り回し、
「眞鍋!眞鍋!俺はやった!やったぞ!」
「大仁田さん!おめでとうございます!」
「俺が…この弱い俺が…ついにあの長州力と闘れるんじゃあ!」
「大仁田さん…」
「眞鍋…お前にも苦労をかけた…いつも引き摺り回してすまなかったな。背広もずいぶんダメになったろう…俺が背広を買ってやる。それを着て、俺と長州の試合を実況してくれるか!」
号泣して頷く眞鍋アナウンサー(>人<;)
「お前より、お前より、実況が上手い、いや、立場が上のアナウンサーが何人もいるのは知っている。でも、でも、俺は、この一年間、俺に付き合ってくれた、お前に実況して欲しいんじゃあ!」
そして、師匠は忘れられない言葉を吐く。
「いまテレビを見ているいじめられっ子諸君!俺は約束しただろう!この、弱い、弱い、弱い俺が、あの長州力と闘えるんじゃ!」
「こんな俺の、俺の、夢も叶ったんじゃ!いま、嫌な思いをしているお前たちの夢も、きっと、きっと叶うぞ!」
「いじめられっ子諸君!この弱い俺にチカラをくれ!あの、強い、強い、強い奴等を、弱い、弱い、弱い俺たちで!一緒にノックアウトしてやろうじゃないか!!」
最高です、師匠!あ、また師匠と呼んでしまった(^_^;)
完結編、いよいよ長州戦に続く…といいなあ(爆)