2017年03月13日

“神”との邂逅 〜鋼の魂

 3/12横浜7thアベニュー。このハコのスペシャルライブ、なんと町田康vs頭脳警察!
こりゃ観たい。観たくないわけがない。そしたら、先日なんとパンタバンドの菊池琢己氏とCROPで競演することができ…「来ない?(^_^)」と誘って貰う。そりゃ行きますがな、行きますがな。今回の頭警のドラムは、なんとこれまた競演した原田ジュン氏。こりゃもちろん行きますがな、行きますがな(^_^)

 7thアベニューに歩く道すがら、想いを馳せた。俺、いつからパンタ好きなんだろう?実は頭脳警察自体は1975年に一度解散しているので、リアルタイムで聴いていたわけではないのだ。

 中学生の頃、初めてギターを弾くようになって聴いていた、そして弾いていたのは、いわゆるフォークソング。拓郎やかぐや姫だ。だからこの辺は今でもリクエストコーナーで求められるとつい何曲もやってしまう。でも中学生当時いちばん好きだったのは実は泉谷だったんだ。

 当時、「日本語でロックをやる」ことは、論争が起きるほど、ある面ではタブーだった。俺は当時チカマくん(以前ブログに書いたが、元気かなあ、彼)の影響でストーンズを聴きはじめたばかりで、「どうしてこういうカッコいいサウンドで、日本語でロックをやれないんだろう?」と漠然と感じていた。その中で「抒情的でありながら、時折世間に物申す」感じの泉谷がいちばん肌にあっていたんだ。

 そんなとき、サカワくん(彼はその後HIRYUの初代ギタリストになる)が一枚のLP!を貸してくれた。「國分はこういうのが理想なんじゃないかと思って」それが「PANTA’X WORLD」だった
(左上。および下記過去ログ参照(^_^;))
パンタ アルバム.jpg
http://jasonk.seesaa.net/article/169867428.html

カセットに録音して、ほんとにテープが擦り切れてブチ切れるまで聴いた。聴き込んだ。もう一回貸してくれ、と頼んだら「おまえ、買えよ」とサカワくんに怒られ、大井町の「ハンター」で中古盤を買う(^_^;)

物凄いハイテンションかつ、間違いなく大音量であろうディストーションが効きまくったギターサウンドに、全く負けない、言葉を弾丸のように叩き込むパンタのヴォーカル。なんなんだ、この人。

レコード店で初めて買ったのは、セカンドの「走れ熱いなら」だった。(写真右上)

「追憶のスーパースター」や「夜明けはまだ」のようなリリシズム溢れる楽曲と、「人間もどき」(歌のテーマが何かは、この時代にとても大事なことだ)のようなハードな(音色のことではない)ロックが共存している。こういう歌が聴きたいんだ。こういう歌が歌いたいんだ。

頭脳警察は、そういうわけで後追いで聴いている。当時発禁になっていたファーストアルバムは、高校の先輩で、学生運動をやっていたミウラ先輩がやはりカセットのダビング!をして貸してくれた。それをさらにダビングした音のワルイカセットテープは、また持っているんだ。

 ハコに着いて、まず町田康氏が登場。歌詞カードのレポート用紙(!)を右手に持ち、淡々と…しかしやはり言葉をはっきりと伝える町田氏のライブは、実は初めて。MCで延々夏目漱石について語るとこは、さすが芥川賞作家。しかし俺は最初「肺尖カタルの学生が、狭い下宿からでてきた」(@梶井基次郎)かと思ったぜ。この辺はまた別の機会に書きたい。

 さあ、頭脳警察だ(^_^)上手にトシのパーカッション、コンガがセッティングされる。これだけで「緊張感」が漲る。不思議な感覚だ。そして、下手にはパンタの弾き語り用のイス。坐って歌うのかあ、それはそれで仕方ない。なんつってもこの二人、御年67歳のはずだ。

 一曲目は「銃をとれ!」JIGEN氏のベースが、あのフレーズを刻む。あっという間に、世界観に引き込まれる。
 そしてパンタが歌い始める。サウスポーのレスポールが、唸りをあげる。そして切り裂くような、全く変わんないどころか、昔テペペが言ってたが「若返ってんじゃないか」というヴォーカル。くだんのイスには、坐んないどころか、なんのためにあんだ、状態。実際、ラストに蹴り倒してた(^_^;)
 「67なんで、こんなバンドやってる時じゃないんですけどね〜」パンタのMCの声は、限りなく優しい。そう、優しくなければこんな歌は歌えないんだ。あんな歌は歌えないんだ。

「最終指令、自爆せよ」。思い出した。この前頭脳警察を観たのは、91年の「再」解散ツアーだった。俺はあの頃、やっぱりいろいろ抱えてて、この曲の、このタイトルに似つかわしくない、流麗なギターソロが大好きだったんだ。そのフレーズを、寸分たがわずタクミさんが弾く。

 …思わず涙腺が緩んだ。この曲で泣いてんのは、俺ぐらいのもんだろう。

そして「落ち葉のささやき」。これも大好きだったなあ。驚いたのは次の曲。パンタが語りだす。この曲については、思い出す限りパンタのMCをそのまま書きたい。

「イラク戦争のとき、自分もバクダッドに行っていた。しかし、もうほんとに危険だから、と言われて、俺はおめおめと逃げ帰ってきてしまったんだ。そのあとで聞いた話だ。大量破壊兵器が見つからなかったアメリカ軍は、もうサダム・フセインを見つけて、命を奪えなければおさまりがつかない。そんな中、サダムの息子たちが潜伏している隠れ家が先に見つかってしまったんだ。そのにいたのはサダムの息子二人と、そのボディガード、そしてサダムの次男の息子、つまりサダムの孫にあたるムスターファという少年。彼はまだ、たったの14歳だった。米軍は、その隠れ家に、200人!の精鋭部隊を送り込んだ。たった四人しかいないことはわかっていたはずなのにね。自分の父と伯父、そしてボディガードを一瞬にして撃ち殺されたムスターファは、ボディガードの銃を拾って、アメリカ軍にその銃口を向けた。結果はわかるだろう。一瞬にして彼は数えきれないほどの銃弾を浴びた。まだ14歳だったんだ。日本のアニメの主人公って、ほとんどが14歳だそうじゃないか。逃げたっていい、白旗をあげたっていい。でも、彼は200人の米兵に向けて、引金を引いた。それが戦争なんだ。だから、戦争は起こしてはいけないんだ。この話は、あのときほとんどニュースにもならなかった。俺は、この、きな臭い今の世の中に、このことを歌にしなくては、と思ったんだ。新曲にあたる曲です。聴いてください。『七月のムスターファ』。」

静まり返った会場に、パンタのヴォーカルが切々と、しかし、力強く響く。

変わっていない。67歳になっても、この人は何も変わっていない。「鋼の魂」を持った人なんだ。そして彼の放つ言葉という弾丸。それは、銀の弾丸だ。世の中の、どうしようもない、どうにもならない、真に邪悪なものを打ち破ろうとする、銀の弾丸だ。一発では、何も変わらないのかもしれない。でも、打ち続けること、歌い続けることにこそ、意味があるんだ。

 ラストは「ふざけるんじゃねえよ」そして、町田康氏を迎えて「悪たれ小僧」。ダブルアンコールは「さよなら世界夫人よ」だった。ほんとに泣けた。高校の頃から、ツラいときによくこの歌を歌ってたんだ。

 いいライブ、いいコンサートだった。ほんとは、タクミさんとジュンさんがいるのだから、ちょっとパンタに会えたらな、なんて思っていたんだ。でも、こんないいステージを見せてもらって、そんなミーハーココロを起こしちゃいけない。Tシャツ買って、帰ろう、とドアを開けたらジュンさんが立ってた。「おう、ジェイソン!探したぜ。タクミが待ってるよ」

 えっ!えーっ!ジュンさんに促されて入った楽屋で、タクミさんが満面の笑みで「パンタ、ほら、ジェイソン(^_^)」

「おう!おう!おう!久しぶりだなあ!まだでかい声で歌ってるんだって?」

…お、覚えててくれたんだ。

パンタ!1.JPG

すんません、もう、ほんと、この人の前ではただのファン以外の何者でもありません(T_T)

昨日読んだビッグコミックに、ジャズピアニストの上原ひろみ氏が「ジャズはもう流行らないって?何言ってるの?私はエロル・ガーナーとオスカー・ピーターソンに影響されたんだけど、私はそれを『バトンを渡された』と思っているの。だから、私は誰かにバトンを渡せたらいいなあ、って思ってる。だからジャズは『伝わる』のよ」というインタビュー漫画があって、いい話だなあ、俺もパンタから「受け取ったバトン」をだれかに渡せたらなあ、なんて今日のステージ見て思ってたんだけど…

すんません、この人やはり俺にとって“神”です。畏れ多いなんてもんじゃありません<(_ _)>

でも、とーぜんトシさん(初対面)にもご挨拶する(爆)

トシ!.JPG

いい夜だった。バンドやっててよかった。何とかこれからがんばれそうだよ(T_T)
帰り道、ちょっと夜空が滲んだ。

パンタ!2.JPG

<ジェイソン國分 今後のライブ>
@2017.3.19(日)
蒲田オッタンタhttp://studio80.org/
池タコライブ42
池タコバンド&故・西宮氏追悼バンドにて1曲。

A2017.3.24(金)
横濱野毛サムズバーhttp://www8.plala.or.jp/samsbar/
「ジェイソン國分のアコースティック男祭り!」
ゲスト・酒井なるひろ、SHIN
スペシャルゲスト・リアルミュージカルスター“亜沙妃”!!

そして決定!ジェイソン國分&ザ・ソウルキッチン レコ発ワンマンライブ第三弾!
C2017.4.23(日)
蒲田オッタンタhttp://studio80.org/mnwq1
ジェイソン國分&ザ・ソウルキッチン 

D2017.5.6(土)
横濱野毛サムズバーhttp://www8.plala.or.jp/samsbar/
HIRYU推参!!

頭脳警察!.JPG
posted by ジェイソン國分 at 02:18| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
少し泣いた(笑)。負けてらんないすよ。バトンを渡すためにも、
Posted by U田村 at 2017年03月13日 07:47
わかってくれて嬉しい(^_^)
バトンを渡すために、やっていくしかない!
Posted by Jason_K at 2017年03月13日 21:28
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