「原作・山田玲司」表題の「CICADA」である。
なんで原作のみなんだ?しかもどうも作画の方は新しい絵を描く感じで、山田氏の弟子ではないようだ。でもとにかく全4巻らしく、すべてあったので購入する。
俺は山田玲司が好きだ。というか、「絶望に効くクスリ」以降はなんつーか勝手に盟友だと感じている。「なんかおかしいんじゃないのか世の中」と感じ、そのすべてを愚直に作品にぶつけている。でも彼は凄く強い人でなく、メンタルは絹ごし豆腐だったりする。だからよく病むようだ。これで頑張ってんだからある意味強いと言えるが。
物語はこうだ(ある程度のネタバレを含む)。近未来の日本。完璧な階級制度が敷かれており、下層階級に生まれると絶対に浮かび上がることはできない。そしてここが肝要なのだが、この世界では「漫画が禁止」されている。漫画を読むどころか所持しているだけで厳罰に処され、漫画は焼き尽くされる。デジタル書籍はその前にすべて政府の手によって消去し尽されている。
そして主人公は最下層の人間で、漫画の焚書官だ。上官の命令でただただ日々漫画を焼いて、楽しむことは何もない生活を送っている。そこにいかにも漫画のヒロインぽい(^_^;)ヒロインが現れ、主人公に漫画の素晴らしさを説き、彼に「うる星やつら」を読ませる。そう、この世界では実在の漫画の名作がたくさんでてくるのだ。
しかし心ある人々はレジスタンスを結成し、漫画を守ろうとしている。ここで表題のシカーダとは、「漫画を現実化し、武器にすることができる人間」なのだ。しかし一度能力が覚醒してしまうと、その寿命は一年。
だから、所謂バトル・シーンで、「鉄腕アトム」のプルートゥや、「バビル二世」のロブロス・ポセイドン・ロデムが実体化する。(ここで手塚治虫・横山光輝をだすところが山田玲司である(^_^))
山田玲司はあとがきでこう書いている。
「頑張っているけどうまくいかなくて、日々『寂しくて死にそうな人』のための作品を書いてみようと思った」
そのあとの台詞が痺れる。「自分の考えで人を救いたい、と思っている僕も、寂しくて死にそうだから」
山田玲司は続ける。
「いよいよ本当のことを書くことが困難な時代がきた」
「短い文章ですべてを判断しようとする傾向は強まり、その場の空気であいつは○○だ、なんて決めつける残酷ショーが、もっと大きな罪を隠して消費されている」
「ホントのことは複雑で、悪いヤツ、悪いこと、なんて簡単には決められない。そんな一言では言えないことを伝えるために物語があるんだ」
「だから漫画は、少数の個人から生み出される『人間の作った』複雑で稚拙で美しいプレゼントなんだ」
そうだよな。そしてこの作品には「共感されると嬉しい」ことや、「あきらめないことは美しい」ことが書かれている。俺も先日、敵だらけだと思っていたところで「ここ、おかしいとおもいませんか?」という「レジスタンスの仲間(^_^;)」に会えてほんとに嬉しかったもの。
山田玲司は変わっていない。渾身の作品が打ち切りになっても、愛する掲載誌が廃刊になっても、それでも孤独な闘いを辞めない。
俺はこの作品を一巻ずつ、愛おしいように読んだ。そうだ、こういう作品をBook−Offで買っちゃいかんな。なんとかして著作料を山田氏に送らねば。でも彼はこういうだろう。
「そんなことはどうでもいいんだ。お前はお前の戦いを続けろよ」ってね。
闘い続けていきたいと思う。
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