2018年03月21日

さよならユモトくんとインコじいさんの夜

 いつも横浜のライブに於いて俺のドライバーを務めてくれるユモトくんが、このたび南の島に永住することになった。

 昔の仲間が集まって、送別会が企画された。彼のキャラクターと心情を鑑み、幹事一同トップシークレットで、サプライズ連続の会となった。
 会そのものの温かさは至上空前のもので、それはそのままユモトくんの心根を表すものだった。そのへんは写真から察して欲しい。

 会場は「木更津焼きそば」。ここで送別会とともにライブも演るのだ。「木更津焼きそば」のマスター、オグラさんは俺の木更津時代の旧友で、ちょうど俺がオモテの仕事の場を横浜に移した年に、彼は今までの仕事を辞めて、焼きそばの屋台を引きはじめた。つまり人生の転機が一緒なんだよね。横浜からのバスを降りたらいきなり目の前に見知らぬ屋台があって、オグラさんが鉄板に向かいながら、「あれ?ジェイソンさん、どこ行ってきたの?」と笑顔で言われたのを、今でも覚えている。

 木更津焼きそばは、その昔木更津にあった、おばーちゃんがやっていた焼きそば屋さんの味を再現したもので、その味の評価は高く、テレビ東京の旅番組等でたびたび取り上げられるほどで、この10年ですっかり木更津の顔のひとつになったが、俺が凄いと思っているのは、オグラさんのこの言葉だった。

「木更津に、誰もが集えるような、いわゆる居場所を作りたいんだ」

 屋台の場所は二度変わり、今は駅前をちょっと曲がったところにある、もう営業していない写真屋さんの中に屋台を引き込んで、営業している。
 オグラさんの言葉通り、午前中から営業している店の一階には、大人が、それも、誤解を恐れずに言えば「ちょっと生きにくそうな」人たちが朝から集って、缶ビールや缶チューハイを空けている。俺はこういう人たちが大好きなんだ。
 そして、二階には、漫画がたくさん置いてあって、学校が苦手そうな子たちが集っている。

 これは、素晴らしいことだ。ひとには、居場所が必要なんだ。長らく、こういう場所は木更津にはなかった。オグラさんが作り上げた最大の功績だと感じている。

 だから俺は、土曜日の夜という、常連さんが集まる黄金の時間に、送別会で5時間あまりに渡って店を貸し切ってしまう許可を、オグラマスターは笑顔で了解してくれたものの、常連さんたちが了承してくれなければダメだと思い、足しげく店に通った。
 そして、ぜーんぜん焼きそば食わずに、延々吞んでる(^_^;)シュウさんや、“渚のハイカラ人魚”マイコさんたちから、「ジェイソンさんなら、しょうがねえや!」という言葉が引き出せて、ほんとにホッとしたんだ。

 送別会直前、こんなことがあった。

 送別会翌日に蒲田でライブもあり、さらに送別会では特別なナンバーを演奏するために午後からスタジオに入ってたソウルキッチンのメンバーとともに、準備のために店に向かった。
 案の定(^_^;)昼下がりの店にはまだ常連さんが居り、がっつんがっつん飲んでるわけで(^_^)その中の一人が、これまたなんというか、普段何して暮らしてるんですかみたいな方で(^_^;)どっかで買ってきたサバの切り身!を「俺の晩飯〜♪」とか言ってオグラさんに焼いて貰っている(^_^;)彼が羽織っているジャンパー?はくすんだ、昔のアイドルグループの富津出身者(ほら、M娘のYKさんですよ)の名前がかろうじて読めるくらいにかすれており、あきらかにどっかの集積所から拾ってきたんじゃないかという…(~_~;)

 彼は「じゃあ〜♪」とか言いながらなかなか帰らない。まーこういう方はだいたいこうなんだが(^_^;)
そして、なんと彼はヨレヨレのTシャツのお腹から、セキセイインコ!を取り出して、「インコなんだあ〜」(見りゃわかるよ(^_^;))
と、灼熱の鉄板がある焼きそば屋にセキセイインコを解き放つ。あわてる我々に「羽切ってあるから大丈夫なんだあ〜」みると、たしかに羽根は切ってあるにはあるけど、ペットショップがやるようなきちんとした切り方でなく、何というか、100均のはさみで切ったような、ザンギリな切り方で…(>_<)

 かのセキセイインコは、優しさで手を出したヒデキロボの手に思いっきりでかい糞をして、帰って行った。
ゴウ・ロージー・松木はひとこと、「先生、木更津はディープですねえ〜」
 まさに。

 この話には後日談がある。月曜、送別会のお礼を言いに行った俺にオグラマスターが放った衝撃の一言。
「あいつ(インコじいさんのこと)金盗むんだよねえ」

ええっ!?
「いや、金があるときはみんなに奢っちゃうんだけどさ。ないと、ひとのカバンに平気で手を入れたりするんだ。万引きも常習で、もちろん捕まるんで、こないだ六か月ばかり『入ってて』出てきたばかり」

 こういう方(^_^;)にも居場所を提供するオグラさんの包容力、胆力、そして愛情には、敬服するばかりだ。

  

 ユモトくんの送別会は「愛」があふれた素晴らしいものだった。テペペの買ってきた「上等な」ウイスキーを一本丸々空け、さらに泡盛飲みながら号泣するユモト。俺は彼がこんなに酔っぱらってるのを始めてみた。あ。いつも俺の運転手やってるからか(大爆)

 ユモトくんが行く南の島に、彼だけの「居場所」がきっとあることを、信じてやまない。

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<ジェイソン國分 今後のライブ>

@2018.3.25(日)
横濱野毛サムズバー
ジェイソン國分の魂が鳴り止まないスペシャルな夜
・第一部 15歳!の「天才」ピアニスト、HIBIKI登場!いろんな曲弾いて貰って歌います!
・第二部 新・新生HIRYUいよいよ登場!スーパー・キーボード・プレイヤーYAMAKO、正式参戦!

・事情により告知が遅れましたことをお詫び申し上げます。でも、内容は濃いです(^_^;)フレディ飯田もでます。お待ちしております。

A2018.4.2(月)
横浜・あいの木きょうしん
ジェイソン國分スペシャル歌謡ショウ!

B2018.4.21(土)
蒲田オッタンタ
「歌う弁護士」ユウゴ氏ワンマンライブのゲスト
UF&J、登場!

C2018.4.29(土)
アズハイム上大岡
ジェイソン國分歌謡ショウ!

D2018.5.4(祝)
横須賀・ヤンガー・ザン・イエスタデイ
酒井なるひろ&YSS、レコ発ライブのゲスト!
登場形態未定

E2018.5.20(日)
蒲田オッタンタ
ジェイソン國分&ザ・ソウルキッチン ワンマンライブ!
スペシャルゲスト・幽霊会社みちづれ、決定!

F2018.5.27(日)
アズハイムいづみ中央
ジェイソン國分歌謡ショウ!

G2018.6.3(日)⇒日程が変わりました
新橋・落陽
西宮氏ご命日追悼ライブ
池タコスペシャルユニット

H2018.7.1(日)
横濱野毛サムズバー
新・新生HIRYUワンマン!
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posted by ジェイソン國分 at 11:37| Comment(5) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月11日

バンドをやる、ということ〜「BLUE GIANT SUPREME」再考察

 たいへんお久しぶりです。いやー、ものすげえ具合悪かったんですよ。最初に熱が出たのが先々週の土曜日で、それから一昨日くらいにやっと晴れた!って感じになったから、ほぼ二週間熱があったことになる。とーぜん、インフルエンザを疑い、なんと三回も検査するも陰性…さらに俺はビールの味で自身の体調を査定するんだが、もう、ほんとゴムのような味で。そんなとき飲むな、って話もあるが(笑)
 その間、仕事は佳境だわ、まーいろいろあるわで、勿論バンドの練習もあったりするわけで、相棒に「根本的に心臓でもやられてるんじゃないか」と言われるわ、まーその相棒もギター演奏中に指が攣るところか腕が攣ったりしてるわけで(爆)まー高齢のバンドマン、ってのはこーいうもんです(^_^;)

 さて、具合悪いとまー寝付くわけで、そうすると漫画ばっか読んでて。表題の「BLUE GIANT SUPREME」の四巻が出て、やっと主人公のカルテットが揃う。欧州編になってから、ちょっとイマイチくんだなあ、と思ってたけど、カルテットがひとりずつ揃い、というか、主人公の磁力に惹かれるように明らかに曲者?のバンドマンが一人ずつ、その背景も丹念に書き込まれて「やってくる」のだ。
 小柄な女性ながら、骨太な前にでるリズムを弾き出す、ドイツ人ベーシストのハンナ・ペータース。クラシックあがりで、繊細な音を紡ぎだすのに、物凄く性格が悪く(!)短気で、気に入らないと演奏中に相手に水をぶっかけて帰ってしまう、ポーランド人ピアニストのブルーノ・カミンスキー。大変な技巧を持ち、年間500以上のライブセッションをこなし、しかし、流動的にメンバーを替えて「上がって」いくのがジャズマンである、との信条から決まったバンドを組まないフランス人ドラマーのラファエル・ボヌー。

 この四人がバンドを組む。国籍も、性別も、そして性格も心情も音楽性も、はっきりいってめちゃくちゃだ。しかし、お互いがお互いを認め合う。「絶対バンドを組まない」はずのラファエルが、一度は断るものの、加入を決めたのは「月が綺麗だったから」だ。なんなんだ、と思われるかもしれないが、いいバンドを組むと、いい演奏ができると、はっきり言って風景が変わる。だから、これはとてもうなずける理由だ。

 ここまで書いてて、あれ?なんか俺これ一回書いてないか?と気づく。

http://jasonk.seesaa.net/article/454823418.html

…書いてた(爆)

 まあ、いいのだ。書きたいことを書くのだ(^_^;)
 週刊連載の最新号では、彼らの初ライブは「大」惨敗に終わる。お互いの思いも技巧も空回りし、客席の三分の二が途中で帰る、という…
 これもあることだ。毎回毎回100%のライブはできない。しかし、お客さんの前に立つ以上は100以上を見せなければならない。だから俺は教え子には「200%になるまで練習しろ」と言ってきた。安生洋二だ(笑)

 俺のバンドのギタリストは、なぜこのバンドでギターを弾くのか、というインタビューに答え「こいつが愉しそうに歌ってるのをみるのが好きなんだ」と言った。これとほぼ同じことを、RC時代のチャボが言っている。
 俺のバンドのベーシストは「一生ついていきたいとは思わない。もっとちゃんとやれよ、と思うことも多い。でも、この男の後ろでベースを弾きたいとは思う。この男の歌を、詩を、支えたいと思う」と書いた。

 …もう言葉もない。こういうメンバーで歌えることが、至上なのだ。やるしかない。

 「BLUE GIANT SUPREME」は、最新作のラストシーンで、ワイルド7のヘボピーみたいな?男が登場し、バンドに的確な助言を与え、バンドのツアードライバーを買って出る。彼は、ハンブルグで主人公を応援した、楽器店の主人ボルツの甥の、ガブリエル。なんと、ヘビィメタル・ギタリストだ。彼は言う。

 「俺は今だって、ジャズよりメタルだよ。でも、ジャズも、ロックも、メタルも関係ねえ。大事なのは「愛」だ。俺は、このバンドに「愛」を運んできたんだ。だから、ケミストリーが生まれるのさ。わかるか?え?わからねえ?」(^_^;)

 さて、次のステージ、どんなケミストリーを生み出せるかな。

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<ジェイソン國分 今後のライブ>

@2018.3.18(日)
蒲田オッタンタ
池タコライブ56
ジェイソン國分&ザ・ソウルキッチン、池タコライブに久々登場!

A2018.3.25(日)
横濱野毛サムズバー
ジェイソン國分の魂が鳴り止まないスペシャルな夜
・第一部 15歳!の「天才」ピアニスト、HIBIKI登場!いろんな曲弾いて貰って歌います!
・第二部 新・新生HIRYUいよいよ登場!スーパー・キーボード・プレイヤーYAMAKO、正式参戦!

・事情により告知が遅れましたことをお詫び申し上げます。でも、内容は濃いです(^_^;)フレディ飯田もでます。お待ちしております。

B2018.4.2(月)
横浜・あいの木きょうしん
ジェイソン國分スペシャル歌謡ショウ!

C2018.4.21(土)
蒲田オッタンタ
「歌う弁護士」ユウゴ氏ワンマンライブのゲスト
登場形態未定

D2018.4.29(土)
アズハイム上大岡
ジェイソン國分歌謡ショウ!

E2018.5.20(日)
蒲田オッタンタ
ジェイソン國分&ザ・ソウルキッチン ワンマンライブ!

F2018.7.1(日)
横濱野毛サムズバー
新・新生HIRYUワンマン!

F2018.5.27(日)
新橋・落陽
西宮氏ご命日追悼ライブ
池タコスペシャルユニット

<お知らせ>
本日3/11に予定しておりました黄金町・はつこひ広場でのマサ中山との共演ライブですが、マサ中山との協議のうえ、出演を見送ることになりました。私だけでなく、今回はマサ中山も出演いたしません。よろしくご理解のほどお願い申し上げます<(_ _)>
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posted by ジェイソン國分 at 07:52| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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