実はプログレは結構好きなのである。自分で歌う、とか歌いたい、とかとはちょっと違うから、自分が聴く音楽のジャンルとしては何か深奥にあるものがあるのかもしれない。
で、キング・クリムゾン。実はえらく好きだったりするのだが、やはりずっと聴いているのは60年代、初期の展開だったりするのだが。よーするにこれね↓
この辺はありとあらゆるところで語りつくされていたりするので、今回はもう全く私的にいきたい。プロレスと同じくそれが浪漫というものだ。
なんつっても、当時のファースト・トラックの邦題「21世紀の精神異常者」は凄すぎた。これ、いま、書いて大丈夫なんかな?とも思うけど、あまたの手塚治虫作品のように当時の表現を大事にしたい。言葉狩り、になってはならぬと思うからだ。
1969年、かのビートルズのアビィ・ロードをヒットチャートから蹴落とした、というのが当時の煽り文句だったが…コテコテのビートルズ・ファンではない俺にとって、このジャケットと邦題…なんじゃこりゃ?というのが本音だったよね。
実は最初に聴いたのは大田図書館で借りたベストアルバム「新世代への啓示」だった。だから「エピタフ」とかの抒情的なトラックの印象が強くて、このファースト・アルバムを買った時の衝撃たるや、あなた(^_^;)
当時おそらくヘビィ・メタルという言葉はまだなかったと思うが、明らかにゆがみまくったギター・サウンドに、これ一体何の音なんだ?という音が絡みまくっている。当時高1だった俺はそれがメロトロンという楽器であることすら知らなかった。
そしてグレッグ・レイクのファズ・ボーカル。これなんだ?でも、妙に引き込まれる。グレッグ・レイクは、どちらかというと好きなタイプのシンガーではないのだが、ピート・シンフィールドが描く詩の世界を見事に音像化していた。やはりこりゃあれだな、やっとジョン・ウェットンが観られる!と勢い込んで行ったASIAの武道館で、突如ウェットンの代わりに加入したグレッグがクソ下手な「ヒート・オブ・ザ・モーメント」を歌ってるのを見て愕然とした、というのがあまり良い印象を持たせてないからに違いない。
なんかよくわからんが、惹き込まれる。これってエヴァンゲリオンつい観ちゃうのと同じ感覚だと思うのは、俺だけだろうか?ただ、このマイケル・ジャイルスの、明らかにジャズがかってるけど、性格無比なドラミングが巧妙なビート感を呼んでいる。たからいわゆるフリー・ジャズとはまた違い、ロックなのだ。ドラマーとしてはビル・ブラッフォードのほうが、明らかにテクニカルで上手いんだけど、でも、このアルバムはマイケル・ジャイルスなんだと思う。そしてイアン・マクドナルドの、のちにフォリナーを結成してしまう音楽性。つまり、ここに御大ロバート・フリップが入ることで成し得る、奇跡の五人なのだ。当時、このメンバーは、いわゆる仲良しグループではないのだけれど、お互いを認め合っていたそうだ。音楽性に共通項はあるものの、かなりずれている。この「ずれ」が奇跡的な、複合と感性の極致を創りだしたのだと感じる。
さて、ここまでが前説なんだが(爆)最近、ウォークマンでヘビィ・ローテーションしてるのは…70年代キング・クリムゾン。「太陽と戦慄」である。「スターレス・アンド・バイブル・ブラック」である。とにかくジョン・ウェットンである。なんだこの重低音は?というベースを歪みまくらせて、しかし正確無比に弾きまくり、そして、あの、俺の大好きな、ジェントルなディープ・ヴォイスを響かせる。そしてビル・ブラッフォードである。かのイエスの「危機」「こわれもの」を支えた、一体どうやって、どのタイコを叩いてんだ?と全くわからぬドラミング。この二人のリズム・セクションは、初期UKにも引き継がれるが、最強だと思う。御大ロバート・フリップは「アイランズ」期の緩々な演奏がイヤだったのだろう、楽しそうに?でも、全く笑顔なんか見せていないに違いないが(笑)ギターを弾きまくっている。そしておまけにデビッド・クロス(失礼)でもこの人いないと「後期」クリムゾンじゃないんだよな。
この70年代の、第一活動期の後期クリムゾンが、日本人にはいちばん人気があるのだそうだ。そりゃそうだろう。ずげえバンドバンドしてるもん。
だから、俺はこの編成でやってるライブ盤「USA」が大好きだった。だってウェットンがあの声で「21世紀の精神異常者」歌うんだぜ。でもあの曲はやはりレイクか(どっちなんだ)
そして「イージー・マネー」(なんだか知らんがフェイドアウトする)に「アズベリー・パーク」での延々続くインプロビゼイション。ぐるぐると、脳髄を、神経をかきまわされる気がする。
80年代になり、第二活動期でなんと来日、しかも場所は五反田ゆうぽうとホール。なんでこんなせまいとこでやるんだ、って思ってたが、まあ地元にクリムゾンが来てくれるなんて、打ち上げどこでやるんだろう、と駆けつけたら…そう、ここにジョン・ウェットンとデビッド・クロスがいてくれたらなあ、って思ってたら…エイドリアン・ブリューが底抜けに明るい顔して「あぁかぁ〜」とか言いながら「RED」歌うわけですよ。「まあって、くださあい〜」とか。あまりのずっこけぶりに、こちらが待ってほしかった(笑)
というわけで、最近聞きまくってます、第一活動期後期、通称「RED」クリムゾン。これが肌身に合うってことは…病んでんのかなあ、俺。ちょいと自覚はあるけど。
でも「混沌こそわが墓碑銘」、「一瞬の光さえ届かぬ崇高な闇」だからな。
※今回、プロレス記事以上にわけわかんない人にはわけわかんないと思います。ひらにご容赦を。
これもつづく?