ジェイソン國分(以下J) 「それは「正しい貧乏」ということだよね」
T 「そうです。第二次大戦後、敗戦国となった日本には、致し方なく貧しかった人たちが多勢いた。というより、国自体が貧しかった、と言い換えることもできると思います。しかし、『ボーダー』の時代はご存じバブル経済真っ盛り」
J 「うむ。俺にはバブルの恩恵はなかったが(苦笑)「株やってない馬鹿は誰だ〜」のような空気は肌身に感じていた」
T 「その時代の空気の中で、月光荘というボロアパートで、しかも便所部屋(注・『ボーダー』では主人公の蜂須賀が使われなくなった共同トイレに布団を敷いて住んでいる。家賃三千円)に自分から望んで住む、という生き方はなかなかできないと思うのですよね」
J 「たしかに文学の世界でも貧しきは美徳、という考え方は昔からあったけれども、便所部屋に住んでいるやつはいなかった」
T 「蜂須賀さんは『選択する貧乏』によって、世の中を正しく観る目を持ち得たのだと思います」
ヒデキ(以下R) 「ぼくは昔は面食いだったんですよ〜」
ゴウ(以下G) 「ヒデキ〜」
(一瞬の静寂の後で)
T 「あの頃の軽音の部室の汚い本棚に、『ボーダー』と『Bバージン』が並んで置いてあった。これを揃えている先輩は只者ではない!と思っていたんですが、まさか先生だったとは…」
J 「まあ、あの頃気まずい本を家に置いておけない事態が生じてね(苦笑)その中に紛れていたんだが…俺も実は『ボーダー』は若干後追いで、1巻を古本屋で見つけた。当時のボロアパートで貪るように読んだよ。そのあと6巻までは古本屋で揃えて、あとは新刊で買ったんだが、本屋になかなか置いてなくてね」
T 「ボーダーは、愛蔵版で買うのは何か違いますよね。あの、古本屋の赤茶けたコミックスの、中華屋に置いてある週刊誌のようなイメージが合っていると思うんですよね」
R 「昔、バイト先にゼッタイぼくのことを好きだった娘がいて、連絡先を書いた手紙まで貰ったんですが、あんまり可愛くなかったから無視しちゃいました。あの頃の俺を殴ってやりたい〜」
G 「ヒデキ〜」
J 「『酒は原価がいちばん』という名セリフがあるが、蜂須賀さんは正しい店にも行き、そこでなんと七味唐辛子をつまみに飲んでた。俺がいまこうやってキャベツがあれば飲めるのも、蜂須賀さんの影響がある気がする。あ、おにーちゃん!ビールもう一本だけ」
T 「男たちが正しい酒を酌み交わす文化が廃れつつありますからね。あ、おにーちゃん!二本にして」
R 「ちょっと聞いてください。そのあとにぼくは好きなひとに電車の座席をとっておいて…」
G 「ヒデキ〜落ちがないよ〜」
T 「蜂須賀さんが『あちら側』のトップ、実業界を裏で牛耳る男と対峙しますよね。絵の中ではサムライの一騎打ちを想起させる。あの相手の顔が当時の漫画界の風雲児であった「○キラ」の作者・Oにそっくりなんですよ。共作もしていたのに、仲が悪くなったんですかね?」
J 「いや、ボーダーの鋭いところは、『あちら側』の中にも、自分が倒すべき、いや、倒すに値する対象がいる、としているところなんだよ。そうでない『あちら側』の対象には、鼻もひっかけないだろ?なんでお前は『あちら側』なんだよ!と蜂須賀さんが怒りの炎を燃やす相手は、真にくだらない奴ではないんだ。『ネオ・ボーダー』ではそれが平清盛のような明確な形で出てくる。けして後鳥羽上皇のような欲の塊は相手にしない」
R 「ちゃんと聞いてくださいよ〜ぼくはあのときバイト仲間に「あの娘ないでしょう」と…ううう…」
G 「ヒデキ〜過去に戻れるのは「少しフシギな世界(SF)」だけだよ〜ああ、次の映画の主題歌書きてえ」
J 「狩撫先生が亡くなったことで、今回『ボーダー』の感覚がわかっているひとがたくさんいることがわかった。まだこの現代は捨てたもんじゃないかもしれない」
T 「我々は伝達可能な魂、を伝え続けていくってことですね」
J 「決まったな。では『ボーダー』の「もっとも美しい日本語」と蜂須賀さんが言った「サヨナラ」でこの場をしめるか」
R 「先生〜きいてますか〜腕時計見ないでくださいよお〜」
G 「ヒデキ〜」
J 「いやもう最終バスが… じゃあ、おにいちゃん!ビールもう一本!」
〜一月某日 相鉄線横浜駅前西口五番街居酒屋「S」にて
<ジェイソン國分 今後のライブ>
@2018.1.21(日)
黄金町はつこひ市場
マサ中山&ジェイソン國分 13:00!
いよいよ本日!
A2018.1.21(日)
横濱野毛サムズバーhttp://www8.plala.or.jp/samsbar/
サムズバー10周年!記念週間
ジェイソン國分&ザ・ソウルキッチン、ワンマンライブ!
オープニング・アクトに UFJ登場決定!(^_^;)
19:30〜
B2018.1.28(日)
メディカルホームグランデ青葉藤が丘
ジェイソン國分歌謡ショウ!
C2018.2.3(土)
木更津MICKhttp://may0925.blog.fc2.com/
ミック・フォークジャンボリー